厚生労働省から「精神・神経疾患研究開発費」という予算が出ていて、たくさんの研究者の先生たちが、テーマごとに班に分かれて懸命に研究開発を進めてくださっています。
臨床の現場のことを研究されていたり、患者登録の仕組みについて研究されていたり、治療薬の開発を研究されていたり、テーマはさまざまです。
代表の医師の名前をつけて○○班、となっている文書が、少し検索をするとたくさん出てきます。
筋ジストロフィー全般の治療法研究については
などが研究されています。
福山型の治療法研究で、今薬に一番近いと言われているのが、神戸大学の戸田達史先生たちの研究班が行っている、スプライシング異常を起きないようにする、「エクソントラップ阻害薬」を用いたアンチセンス療法です。2011年10月に、マウスの実験が成功し、新聞の一般紙でも取り上げられました。※→クリックすると拡大します
このアンチセンス療法に用いるアンチセンス核酸というDNAのような構造をした薬の開発が現在研究中で、福山型マウスと、人間のリンパ球、人間の筋芽細胞で治療効果が確認されたそうです。今は、人に投与できる形をしたアンチセンス核酸の設計・開発がすすめられています。
そこで気になるのが、治療薬でどこまで治るのか?どんなふくやまっこに効くのか?ということですね。
現時点では、このように予想されているそうです。
現在開発されているお薬は、「レトロトランスポゾン挿入変異のある遺伝子」に対して効果が見込まれているお薬です。それぞれの遺伝子型の効果については、下のように予想されています。
(「遺伝子型」「レトロトランスポゾン挿入変異のある遺伝子」についての説明は、「福山型先天性筋ジストロフィーとは」のページをごらん下さい。)
2つの遺伝子ともにエクソントラップの阻害効果が期待され、高い効果が見込まれています。
1つの遺伝子に効果があるので、十分に効果が見込まれています。
(保因者が健常であることから、1つの遺伝子に効果があれば、十分な効果が得られると予想されています)
ホモ型の子でもヘテロ型の子でも、お薬の効果が十分見込まれているようですね!
症状の重さや進行度合いに対してどのくらい効くのか、などについても知りたくなってしまいますが、そのあたりは今後の研究と治験の成果が待たれるところだそうです。
今は拘縮予防のリハビリなどでできるだけ現状維持に努めながら、お薬の完成を待ちたいですね!
マウスや人間のリンパ球、人間の筋芽細胞で効果が確認されて、人に使用できるアンチセンス核酸を開発する今の研究が順調に進んでも、実際にふくやまっこに投与してみないと、効果や副作用の検証はできません。
その検証を行なうテストが「治験」です。治験とは、国からお薬の承認を受けるために行なう臨床試験で、毒性や人での効き目(有効性)や副作用(安全性)などを確認します。
今、一歩先に研究が進んでいるデュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、全世界で約180人の患者さんに治験が行われるそうです。
福山型においては、神戸大の戸田先生の研究チームによって動物でのお薬の有効性が確認された所です。現在は治験を目指して人に投与できる形をしたアンチセンス核酸の設計・開発がすすめられている所です。
また、日本筋ジストロフィー協会でも、「神経・筋疾患医学情報登録・管理機構」を立ち上げ、治験を行なうために必要なふくやまっこの遺伝子情報・医学情報の登録の受付が開始され、少しずつ、治験の準備が始められています。